エモいでだいたい解決する。

映像作品、写真、本、服飾、音楽、アート

全部が絡まって、君の背中を蹴りたい。

インターネットです。

 

それは、関心とか安っぽいものじゃなくて、愛情みたいなベタベタしたものでもない。

この気持ちは、何だろう。

その人の魅力に惹かれているのか興味があるのか。

私の、そんな妙な気持ちを加速させる人が、たまにいる。

 

 

蹴りたい背中」という言葉は、まさにその気持ち。

あの人の背中を蹴りたい。痛がってる姿、怯える姿、驚く姿が見たい。

と、いうのはもしかしたら間違いで、ただ気づいて欲しいのかも。

 

 

高校生って子供だから、生きるのがとっても下手なの。

しかも、子供らしい素直さの一切をなくした子供だから、タチが悪い。

言葉はなにも出てこない、気持ちは直接伝えない。

だから、背中を蹴らしてって。

 

 

想像の中で、ボコボコにしたり、口付けたりすることって、誰にでもある。

ハツとにな川が、僕の想像と重なった。

まるで僕たちの衝動の擬人化のように思えた。

 

 

著者綿矢りささんの言葉は、美しくて、全てを言葉で言い当てる。

寂しくて、知りたくて、知って欲しくて、ぐちゃぐちゃな気持ち。

全部が絡まって、

君の背中を蹴りたい。

 

 

ぜひ一度読んでください。

サラバ

 

 

 

蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

 

 

 

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人間の可愛い醜さ クリープハイプ『炭、酸々』

あさひです

 

なにか嫌なことがあった日、感傷に浸って帰り道を歩く。

どうして自分ばかりとか、自分は可哀想だなとか気分的には悲劇のヒロイン。

そのまま何事もなく家まで辿り着ければ無問題。

ドラマチックな帰り道で完結する、のに。

 

そういう時に限って、急な雷雨に襲われたり、忘れ物に気づいて引き返したり‥

全く綺麗にまとまらず、現実に引き戻されるものです。

 

全くリアルなこういうミスは人を冷静にさせます。

一旦冷静になると、ついさっきまでの感傷に浸って”ぶってた”自分が猛烈に恥ずかしい。いや、普通に考えてイタすぎるよバカじゃん!ってどうしようもない醜さに気づいちゃうんですよね。

そうなると、感傷に浸っていた理由とかもしょうもないことに思えてきたり。

もう完全に一人相撲。本当に醜くて恥ずかしくて、

でも、その恥ずかしさが傷を少し紛らわしてくれる。

 

こんな人間の醜さを「炭酸」という爽やかなテーマと、ボーカル尾崎世界観のハイトーンボイスで歌ったのがこの『炭、酸々』だ。

 

自分のどうしようもなさを恥ずかしく思う気持ちと、でもそんな日常を愛しく思う気持ちがない混ぜになったこの感情は一種のエモさを孕んでいる。

 

聴いた後は自分のポンコツさが少し愛しくなる。

決して「がんばれ」を強要しない軽さこそまさに『炭、酸々』


クリープハイプ 炭、酸々

 

 

夏、ノスタルジックの加速 映画『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』

インターネットです。

 

これをみなくちゃ夏始まらんっしょっていう、作品。

 

 

1979年、とある平和な田舎町。ママチャリ率いる「ぼくたち」7人は、気ままな高校生活を送っていた。ぼくたちがする事と言えば、ママチャリが考えるイタズラ。ところが、ぼくたちのイタズラに怯まない駐在さんがやってきた。しかし、これがママチャリを熱くさせてしまった。しかも、駐在さんには、町一番の美人妻がいるではないか。許せん!かくして、田舎の町を舞台に、駐在さんとぼくたちのしょうもない戦いが始まった。

 

 

男子たちのいたずら劇、珍道中で、強炭酸。

コミカルにつぐ、コミカル。

ありとあらゆる夏の風物詩をぶち込んでぶち混ぜたような作品。

眩しすぎて暑すぎるよ、みんなって感じ。

 

作品は1970年代の時代設定のようです。

ウォークマンや喫茶店、できたてのコンビニなどで時代が演出されていましたが、

個人的にいいなぁと思ったのが、コンビニに陳列されていたこれ

 

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本当に一瞬だけ見えます。

これ懐かしすぎ、小学校一年生くらいの時あったわ。

すごく雰囲気が作り込まれてるなぁと関心。

 

 

作中多用されている、「次、いってみよう!」的なシーン切り替えや、

後ろからぐーっと寄るカットなどは、70から90年代のテレビを

意識しているらしいです!

 

 

そして。視聴者全員が一度死ぬのが、物語後半花火を盗んだ後の自転車爆走シーン。

やっぱすごいってファンモン。

散々ふざけといて、そこでファンモンはずるいって。

お前ら叫ばないでくれ、夕日を背に叫びながら自転車漕がないでくれ。

リスナーはなすすべなく、夏のエモみにぶち飲まれるでしょう。

 

 

「俺たちはまだちっぽけで手のひらの中にはなにもないけど」って歌詞

なにもないけど、なににも負けない気がした時代、誰にでもあったはず。

ママチャリたちは、そんな時間の真っ最中なんだね。

 

  

夏って、どんなときも少しだけノスタルジックなのって、何でなんですかね。

言葉にできない気持ち。

いや、言葉にしたら壊れちゃうような、気持ち。

そういう気持ちを加速させてくれるのが、この作品。

こういうとき、この全てをひっくるめた便利な言葉があるんすよ。

 

「エモい」って言うんすけどね。

 

ぜひ見てください。

 

さらばだ。

 

 

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卒業してから気づく学生のエモさ 小説『キケン』

あさひです。

 

学生ってなぜか熱意に溢れてる。

体育祭だの文化祭だの部活だの。

こんなこと言ってしまえば無意味なこと。

ただの学校行事で、たかが部活。

でも損得なんて考えない、何のためかなんて考えないのが学生。

無意味なことを一生懸命やれるのって学生の特権なんだよね。

 

『キケン』の舞台は某県某所の工科大。「機械制御研究部」通称キケン。

主人公元山とその友達池谷は勧誘されるままにキケンに入部してしまう。

一癖も二癖もある先輩とその所行に振り回される後輩たちの騒がしい日常。

理系男子達の爆発的熱量に胸焼けするほどあてられる青春物語だ。

 

 

文化祭の屋台、ロボットの大会、部活の勧誘

彼らはやりたいことに全力投球。後先なんてものは後で考える。

もうめちゃめちゃ無鉄砲だし、バカ。

煽られるとすぐムキになっちゃうし、ダメって言われるとやっちゃう。

小学生かよバカだなあ。

でもその分なぜかすごく愛しい。

昔は誰もが持ってたはずの素直さを持ってるこの男達が羨ましい。

 

楽しそうだなあ、自分にもこんな学生時代があったなあ、戻りたいなあ。

読者は読んでいる間ノスタルジックな気持ちになる。

 

その気持ちのまま終盤を迎えるとしてやられます。

 

最後の章は大人になったキケンメンバーの話。

実はこの物語、大人になった主人公元山が奥さんに学生時代の武勇伝を話す形で進んでいく。

話しているうちに元山も学生時代を思い返してあの何とも言えない気持ちになる。

 

最終章で、読者と元山の感情がうまくリンクするのです。

 

鳥肌ものです。ああいいなあ、エモい。

無意味で無鉄砲で全力だったあの時代に戻りたい。でももうキケンは自分たちのものではない。そんな気持ちから、元山はしばらく母校の文化祭に顔を出せないでいた。だけど、奥さんに話したことをきっかけに文化祭に行くことを決意します。

文化祭に行ってからの話はぜひ実際に読んで浸っていただきたい。

最後の最後、ラストのページの見開きに出会ったときのあの感情はエモい以外に言いようがありません。

 

久々に学生時代の仲間に会いたくなる、帰省するまえの今こそ読んでほしい一冊です。

 

キケン (新潮文庫)

キケン (新潮文庫)

 

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サラバあの日のエモみ バンド『The SALOVERS』

インターネットです。




夏の夕方、外で音楽を聴くのが好きだ。

まるで自分がなにかの主人公であるかのように、

映画で言えば、画面の真ん中を陣取るように、

肩で風をきるように、歩く。

音楽は自分をちょっと強くしてくれる。

ちょっと、切なくしてくれる。

誰もいない道で、

ちょっとだけ声を出して、歌ってみる。

夏ってだけで、全部が素敵なことみたいに見える。



田舎で、夏の夕方に自転車を立ち漕ぎして聴く音楽は、殺傷能力あり。

この世界に永遠ってものは存在しないけど、

あの時だけは、永遠漕げる気がした。

でも、生憎あの頃の僕たちは、

そんな時間の貴重さに、気づかないんだなぁ。

それで、もう戻れくなった時、初めて気づくんだね。

エモいって、そういうこと。

今日は、The SALOVERSを聴こう。

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残されたものと、去る者のエモさ 映画『サマーウォーズ』

こんちわ、あさひです。

 

先日、私の祖父が死んだ。

 

近い身内を亡くすのは、物心ついてから初めてのことだった。

祖父は、実家から離れている私と長兄が病院に着くのを待っていたように、私たちが到着してまもなく家族全員に見守られて亡くなった。

 

祖父が亡くなった次の日。葬式の前のことをよく覚えている。

葬式のために集まった親戚と机を囲んでご飯を食べる。

学生の頃の祖父の話や祖父の仕事ぶりなどみんなが思い思いに話している。

その場はとても和やかで、不思議と悲しい雰囲気は漂っていなかった。

 

この日のことを思い返すと、映画「サマーウォーズ」と重ねてしまう。

 

サマーウォーズ」と言えば真夏のド定番。数学が得意な高校生健二が、ひょんなことから憧れの先輩夏希の実家を訪れるところから物語は始まる。

夏希のひいおばあちゃんである栄おばあちゃんの誕生日を祝うために集まった親戚と健二は、世界中の人が利用する仮想世界「OZ」を混乱から救うために力を合わせるというストーリーだ。

 

 しかし栄おばあちゃんは「OZ」の混乱の最中、狭心症で亡くなってしまう。

 

サマーウォーズ」のすごいところはここからだ。

栄おばあちゃんが亡くなって葬式までの慌ただしさがなんともリアル。

亡くなってすぐはみんな悲しみに沈む。無言になる。

しかし、やらなければならないことは山積みでいつまでも凹んではいられない。

その切り替えの早さというか、人間のしたたかさの描写がとても丁寧。ノンフィクションに近い。

更に、終盤の亡くなった栄おばあちゃんの誕生日を祝うシーンはそれだけで栄おばあちゃんが、一族がどんな人間なのかが分かる良さがある。

大切な人を亡くしたとき、その人との思い出を悲しい思い出に塗り替えない。

私たちの人生はまだ続く。思い出を抱いて前向きに歩く残されたもののエモさ。

 

良い思い出を、教訓を後世に残す去る者のエモさ。

「家族同士で手を離さぬように、人生に負けないように、もし、辛い時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんな揃って、ご飯を食べること」

栄おばあちゃんの言葉は、確かに親戚一同に届いてるよ。エモいなあ。

 

今年の夏、私にとっては祖父のいない初めての夏になる。

サマーウォーズ」はそんな夏にこそふさわしいのかもしれない。

 

サマーウォーズ
 

 

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エモさの暴力で死ぬ 映画『リンダリンダリンダ』

 

 

こんにちは、インターネットです。

今回紹介する作品は、日本の青春映画の名作、エモーショナルの暴力、ノスタルジーの大渋滞とでもいいましょうか。

ネタバレを含みますので、ご注意を。

 

リンダ リンダ リンダ
 

 

 

高校の文化祭のためにバンドを組んだ女子高生たち。 

ある仲違いをきっかけにボーカルが抜け、

その埋め合わせに偶然通りかかった韓国からの留学生を誘う。

本番まで残された時間は二日、彼女たちの青春が始まる。

 

 

作品全体に漂う、ゆったりというよりはだらっとした時間の流れ。

決してキラキラの学生時代とは言えない様子。

必死に練習する描写はなく、思い思いケータイをいじったり、おしゃべりばっかり。

ただ、その一つ一つが、リスナーの甘酸っぱくて鼻の奥がツンとしてしまうような

ノスタルジー観をつついてくるのです。

 

 

青春は、決してきらきらしたものではないと、誰かが言っていたのを思い出しました。

人間関係、勉強、閉鎖的な狭い世界、将来。

そんな高校生活の中で、それでも、緩やかな幸せを、大切に温めるのです。

「結局、こういう時のこと(なんでもない日常)が大人になっても覚えてる。本番は夢中でやっちゃうからさ。」

望が屋上で言った言葉です。

この言葉がこの作品の全てではないでしょうか。

私たちをノスタルジーに誘うのは、いつでも、

何気ない当たり前だったことなんですね。

 

 

監督の画作りには脱帽です。とても魅力的!と言えるカットはなく、常に引き気味。

ロングカットが多めで、一貫してスローペースを表現する。

最後のライブも、決して観客全員が立ち上がり盛り上がるわけではない。

エモの暴力に打ちひしがれる私たちの邪魔を一切しない手法。

大変心地よかったです。

 

 

光ってました、登場人物たち。クスッと笑ってしまうソンちゃん。

まさにJK恵。笑顔素敵過ぎ響子。一番好き望。あんた、いい人すぎかよ小山先生。

 

 

最後、ずるすぎるよ、ブルーハーツ

カセットテープなんて無縁な世代の私なのに、なんでだろう、

その時代に生きてたかのような気持ち。感涙。

 

 

「写真には映らない美しさ」まさに、高校時代のことのよう。

いつしかの自分の文化祭を思い出してしまう作品です。

エモの暴力、おすすめです。

ぜひみてください。

 

 

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