残されたものと、去る者のエモさ 映画『サマーウォーズ』
こんちわ、あさひです。
先日、私の祖父が死んだ。
近い身内を亡くすのは、物心ついてから初めてのことだった。
祖父は、実家から離れている私と長兄が病院に着くのを待っていたように、私たちが到着してまもなく家族全員に見守られて亡くなった。
祖父が亡くなった次の日。葬式の前のことをよく覚えている。
葬式のために集まった親戚と机を囲んでご飯を食べる。
学生の頃の祖父の話や祖父の仕事ぶりなどみんなが思い思いに話している。
その場はとても和やかで、不思議と悲しい雰囲気は漂っていなかった。
この日のことを思い返すと、映画「サマーウォーズ」と重ねてしまう。
「サマーウォーズ」と言えば真夏のド定番。数学が得意な高校生健二が、ひょんなことから憧れの先輩夏希の実家を訪れるところから物語は始まる。
夏希のひいおばあちゃんである栄おばあちゃんの誕生日を祝うために集まった親戚と健二は、世界中の人が利用する仮想世界「OZ」を混乱から救うために力を合わせるというストーリーだ。
しかし栄おばあちゃんは「OZ」の混乱の最中、狭心症で亡くなってしまう。
「サマーウォーズ」のすごいところはここからだ。
栄おばあちゃんが亡くなって葬式までの慌ただしさがなんともリアル。
亡くなってすぐはみんな悲しみに沈む。無言になる。
しかし、やらなければならないことは山積みでいつまでも凹んではいられない。
その切り替えの早さというか、人間のしたたかさの描写がとても丁寧。ノンフィクションに近い。
更に、終盤の亡くなった栄おばあちゃんの誕生日を祝うシーンはそれだけで栄おばあちゃんが、一族がどんな人間なのかが分かる良さがある。
大切な人を亡くしたとき、その人との思い出を悲しい思い出に塗り替えない。
私たちの人生はまだ続く。思い出を抱いて前向きに歩く残されたもののエモさ。
良い思い出を、教訓を後世に残す去る者のエモさ。
「家族同士で手を離さぬように、人生に負けないように、もし、辛い時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんな揃って、ご飯を食べること」
栄おばあちゃんの言葉は、確かに親戚一同に届いてるよ。エモいなあ。
今年の夏、私にとっては祖父のいない初めての夏になる。
「サマーウォーズ」はそんな夏にこそふさわしいのかもしれない。
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