人間の可愛い醜さ クリープハイプ『炭、酸々』
あさひです
なにか嫌なことがあった日、感傷に浸って帰り道を歩く。
どうして自分ばかりとか、自分は可哀想だなとか気分的には悲劇のヒロイン。
そのまま何事もなく家まで辿り着ければ無問題。
ドラマチックな帰り道で完結する、のに。
そういう時に限って、急な雷雨に襲われたり、忘れ物に気づいて引き返したり‥
全く綺麗にまとまらず、現実に引き戻されるものです。
全くリアルなこういうミスは人を冷静にさせます。
一旦冷静になると、ついさっきまでの感傷に浸って”ぶってた”自分が猛烈に恥ずかしい。いや、普通に考えてイタすぎるよバカじゃん!ってどうしようもない醜さに気づいちゃうんですよね。
そうなると、感傷に浸っていた理由とかもしょうもないことに思えてきたり。
もう完全に一人相撲。本当に醜くて恥ずかしくて、
でも、その恥ずかしさが傷を少し紛らわしてくれる。
こんな人間の醜さを「炭酸」という爽やかなテーマと、ボーカル尾崎世界観のハイトーンボイスで歌ったのがこの『炭、酸々』だ。
自分のどうしようもなさを恥ずかしく思う気持ちと、でもそんな日常を愛しく思う気持ちがない混ぜになったこの感情は一種のエモさを孕んでいる。
聴いた後は自分のポンコツさが少し愛しくなる。
決して「がんばれ」を強要しない軽さこそまさに『炭、酸々』